10月18日、岐阜県美濃市において「全国和紙サミット」が開催されました。このサミットは、全国で魂をこめた手漉き和紙を今に伝え未来に繋いでいく技術者と自治体関係者の皆さんでこの数年開催されています。その構成団体は浜田市、美濃市、小川町が中心でそれぞれ、石州和紙、本美濃紙、細川紙。石州和紙がユネスコの認定を受けたことが発端になり、全国の手漉き和紙が併せて認定されました。
このサミットはこれらの町が持ち回りで開催をしており、機械和紙があらゆるジャンルで使用される昨今ですが、手漉き和紙の手間暇かけた心がこもった質の高さを発信する場であり、その後継技術者の相互交流の場として意義深いものです。
私の在住する浜田市の石州半紙はとても強く地元郷土芸能の石見神楽の神楽面、大蛇の蛇胴に使用されています。石州和紙なくして石見神楽の発展はなかったとも言えます。手漉き和紙の需要はたしかに多くはないと思われますが、この技術を守り続ける意義は大きいです。合理性や多様性が重視される世の中、昔ながらの手漉きのスピリッツに触れる「紙」を大事に育てていきたいものです。
当日の講演会では、書道家の武田双雲先生のお話でした。大河ドラマ「天地人」の題字を書いている人です。活動も多彩で出身大学が東京理科大学とは意外でした。書道家として手漉き和紙に書く感触の話や本物、手作りの「物」が発する波動の話などとても興味深い話を伺いました。今後のご活躍を期待します。